田中建設工業の今後の業績予想

19.3 期は 18.3 期の大型案件の反動で減益に

19.3 期の売上高は前期比 17%減の 65 億円、営業利益は同 42%減の 7.3 億円と
予想する。前期に大型工事で追加受注も多く高採算の「春日・後楽園駅前地区
市街地再開発」関連工事が工事完成基準で計上されていた反動で、減収減益と
なろう。ただし、同再開発の影響を除けば、上記の特徴を活かし、既存顧客か
らの受注の拡大、案件ごとの工事の大型化もあり増収傾向を維持している。粗
利率については、設計変更なども勘案し、当社の過去 11 期の平均 21%を下回
り、会社が粗利率のベース基準と考えている 20%と予想している。ただし、近
年の傾向から、設計変更に伴う追加受注の発生などで粗利率は上振れる可能性
もある。販管費は営業人員の増加や、IT 投資の増加などにより同微増となろう。

20.3 期からは増収による増益の再開を予想

20.3 期の売上高を同 8%増の 70 億円、営業利益を同 11%増の 8.1 億円、21.3
期の売上高を同 4%増の 73 億円、営業利益を同 6%増の 8.6 億円と予想する。
粗利率については 20%で横ばいの推移を予想する。前期同様に、増収増益を予
想する。当社の増収の要因として案件の大型化が挙げられるが、他の建設業で
は案件大型化による粗利率下落リスクが指摘されることもある。ただし、過去
の当社の実績を見ると、設計変更などを認めて貰いやすい業種なため、案件の
規模と粗利率の相関関係は低く、増収局面でも粗利率の維持は可能と考えた。
販管費は IT 投資の増加などによる微増傾向を予想している。

再開発、官公庁案件への取組強化、地方進出などが中期展開のテーマ

当社の成長戦略の軸は、中長期的にも新規顧客を増やし、既存顧客と一層関係
を深めることで、より多く、より大きな案件を受注できるようになることであ
る。

首都圏中心に大型再開発案件の受注を強化する方針で、近年は大型再開発
案件での解体工事の経験も積んできた。中期的には、採算を重視した上での官
公庁の入札案件への本格的な進出、コンパクトシティ推進に伴う都市再開発な
どにより需要が増加すると見られる地方への進出などが実現できるか注目した
い。