インバウンド売上の今後の見方 越境 EC での取り組みが重要

中国 EC 法が施行され、足元の免税売上が急ブレーキ

12 月、マツモトキヨシホールディングス(3088)とサンドラッグ(9989)で店頭免
税売上が既存店で前年同月比減収に転じた。1 月売上の途中経過を発表した高島屋(8233)と J.フロント リテイリング(3086)の免税売上も同減収となり、
中国 EC 法が 1 月 1 日から施行されたことによる影響が懸念されている。

ウェルシアなども危ないとみられている。

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同法は、個人の代購業者であっても、中国及び買い付け国での営業許可証の取
得、中国語の商品説明添付義務や、商品によっては CFDA 許認可(化粧品、
健康食品、サプリメント、医療機器等)の取得を義務付けており、不正が発覚し
た場合は罰則が科されるようになった。

従来、代購は郵便物や持込み荷物と同様に取扱われていたが、メリットであった通関手続の簡易性は大きく損なわれた。

代購は日本製品を手に入れる主要ルート

規制強化で、目先の国内店頭の免税売上には慎重な見方が必要になってき
た。JETRO が 18 年 12 月に実施した調査によれば、中国の消費者が日本製
品を入手する調達ルートは、「代理購入(C2C)(71.4%)」「一般小売り(店頭)
(40.7%)」「海外旅行(37.4%)」「越境 EC(B2C)(13.2%)」となっており、主要ルートは個人の代購業者(C2C)である。

特に、化粧品の免税売上は、他の商品よりもより慎重なスタンスが求められ
る。J

ETRO の上記調査では、中国人が日本製品を購入する一番の理由に、中国内では店頭販売されていないことが挙げられたが、一般貿易として輸入されていない商品の場合、CFDA で許認可を取得する必要があり、許認可取得には半年から 1 年を要する模様で、申請費用も必要である。

内外価格差がありインバウンド需要が急減するリスクは小さい

目先、ドラッグストアのインバウンド売上(店頭免税+企業向け)の減収リスクは
大きいものの、中期的に減収トレンドが続くと見込むのは時期尚早であろう。
理由は、

1)生理用品など商品によっては大きな内外価格差が存在し、現地課
税を考慮してもマージン確保が可能なこと

2)観光客は増加する見通しであること、3)中国人の日本製品に対する品質の信頼感がある

こと、が挙げられる。

インバウンド売上の主要チャネルは代購から越境 EC へシフトするだろう
我々は今後、現地販売の重要性が高まると考えている。

特に、優遇税率が適用される越境 EC(現地 EC 販売)取引は増えると予想される。現に、アスクル(2678)やコスモス薬品(3349)によれば、12 月の中国の越境 EC 向け売上は前年同月比で増収だった。

国内ドラッグストアは越境 EC サイトで競合との
競争優位をどう際立たせられるかが問われよう。

平安保険(ピンアン・インシュアラン ス) 保険事業は引き続き好調

新年キャンペーンの事前販売が予想よりも低調だったため、19.12 期の新契
約価値成長率予想を 1.7%ポイント下方修正。金利低下を踏まえ、長期の資
産運用利回りの想定を 4.5%へ、0.5%ポイント下方修正

 19 年の新年キャンペーンの事前販売の初年度収入保険料は二桁のマイ
ナス成長となった可能性がある。会社は戦略的に、新年キャンペーンを重
視しなかったためだ。しかし我々は、最悪期は過ぎたとみており、19.12 期
には四半期ごとの事業動向の偏りが減ると見込む。19.12 期の新契約価値
成長率予想を 14%へ、1.7%ポイント下方修正するにとどめる。

 足元の金利低下を踏まえ、長期の資産運用収益は低調と見込む。そのた
め、長期の資産運用利回りの想定を 4.5%へ 0.5%ポイント下方修正する。
これを受けて、19.12 期の調整後エンベディッドバリューと調整後新契約価
値の想定も引き下げた。

 マクロ経済の逆風にもかかわらず、当社の生保及び損保事業が好調であ
ることに変わりはない。生保事業については、19.12 期の新契約価値成長
率を競合より高い 14%と見込む。損保事業については、19.12 期のコンバ
インド・レシオを堅調な 96%と予想する。またフィンテックのトップ企業とし
て、従来型金融企業との差異化が進む見通しである。

バリュエーション:Buy 継続。目標株価を 95.13 HK ドルへ 9%引き下げ
目標株価を 95.13 HK ドルへ 9%引き下げる。上値余地は 38%ある。フィンテ
ック事業を一株当たり 10.3 元と評価した。これは持株会社ディスカウントを付
与する前の当社の一株当たり価値の 11%に相当する。フィンテック事業の評
価は、技術の発展や情報開示の改善を背景に上昇余地が大きいため、これ
が他の金融企業と差異化要因となるだろう。

田中建設工業の今後の業績予想

19.3 期は 18.3 期の大型案件の反動で減益に

19.3 期の売上高は前期比 17%減の 65 億円、営業利益は同 42%減の 7.3 億円と
予想する。前期に大型工事で追加受注も多く高採算の「春日・後楽園駅前地区
市街地再開発」関連工事が工事完成基準で計上されていた反動で、減収減益と
なろう。ただし、同再開発の影響を除けば、上記の特徴を活かし、既存顧客か
らの受注の拡大、案件ごとの工事の大型化もあり増収傾向を維持している。粗
利率については、設計変更なども勘案し、当社の過去 11 期の平均 21%を下回
り、会社が粗利率のベース基準と考えている 20%と予想している。ただし、近
年の傾向から、設計変更に伴う追加受注の発生などで粗利率は上振れる可能性
もある。販管費は営業人員の増加や、IT 投資の増加などにより同微増となろう。

20.3 期からは増収による増益の再開を予想

20.3 期の売上高を同 8%増の 70 億円、営業利益を同 11%増の 8.1 億円、21.3
期の売上高を同 4%増の 73 億円、営業利益を同 6%増の 8.6 億円と予想する。
粗利率については 20%で横ばいの推移を予想する。前期同様に、増収増益を予
想する。当社の増収の要因として案件の大型化が挙げられるが、他の建設業で
は案件大型化による粗利率下落リスクが指摘されることもある。ただし、過去
の当社の実績を見ると、設計変更などを認めて貰いやすい業種なため、案件の
規模と粗利率の相関関係は低く、増収局面でも粗利率の維持は可能と考えた。
販管費は IT 投資の増加などによる微増傾向を予想している。

再開発、官公庁案件への取組強化、地方進出などが中期展開のテーマ

当社の成長戦略の軸は、中長期的にも新規顧客を増やし、既存顧客と一層関係
を深めることで、より多く、より大きな案件を受注できるようになることであ
る。

首都圏中心に大型再開発案件の受注を強化する方針で、近年は大型再開発
案件での解体工事の経験も積んできた。中期的には、採算を重視した上での官
公庁の入札案件への本格的な進出、コンパクトシティ推進に伴う都市再開発な
どにより需要が増加すると見られる地方への進出などが実現できるか注目した
い。

田中建設工業の特徴

田中建設工業の主な特徴として、(1)金融機関との繋がりが強く新規顧客の紹介を受けら
れること、(2)施工監理に特化しトラブルなく施工を完了させることで、顧客の
信頼を獲得していること、 (3) 同業他社に比べて元請比率が相対的に高く、高
い収益性を実現していること、の 3 点が挙げられる。
金融機関との繋がりが強く新規顧客との接点が多い
当社のマネジメントには代表取締役社長の釆澤和義氏(旧あさひ銀行出身)をは
じめとして金融機関出身が多い(図表 6)。また、18.3 期末時点の自己資本比率
は 61.4%程度と財務健全性が高いことから、金融機関から信頼も厚い。実際に、
顧客紹介のビジネスマッチング契約をメガバンク含む 6 行と結んでおり、常に
新規顧客を獲得することが可能となっている。

施工監理に特化し工事水準を安定させ、顧客の信頼を獲得

当社は施工監理に特化した業態である。同業他社は工事機械を自ら保有し一部
施工を自ら行うこともあるが、当社は保有しない。したがって、単純な原価競
争力や施工技術で当社の強みは多くないと考えるが、施工監理業務に集中し安
全管理や近隣対応を丁寧に行い、近隣からのクレームや施工時の事故などのト
ラブルなどを回避でき、工事の質を安定させることが強みとなっていると考え
る。発注者は完成後のビジネスも勘案し、工事中のトラブルによるレピュテー
ションリスクを忌避するため、トラブルなく解体工事を完了できる当社は、発
注者からの信頼を獲得していると見られる。

金融機関の紹介により新規顧客を獲得しリピート顧客とすることで、当社の受
注に占める既存顧客の比率は近年上昇していると見られる。信頼を得た顧客か
ら以前受注した案件より大型の案件を受注することに成功し、当社の足下の売
上高増加の原動力としていると考える。

元請比率の高さにより高い収益性を実現

当社は既存顧客に対して直接営業を行うことで、案件の初期段階から事業に関
わり、元請けとして工事を受注することに成功してきた。当社の売上高に占め
る元請受注比率は 18.3 期に金額ベースで 5 割程度となっている。

同業他社は
特定のゼネコンからの下請受注への依存度が高いと見られる。よって、特定顧
客に依存せず幅広い顧客に直接営業を行うことで元請として受注を獲得できて
いる点は当社の強みと言えよう。

建設業一般に言えることだが、元請受注の案件は下請受注の案件よりも採算が
良い傾向がある。当社はこの元請受注比率が高く、18.3 期の粗利率も 22.9%と、
同業他社のみならず他の建築関連企業の中でも高い水準にある。

田中建設工業 潜在需要が拡大している解体工事

国内では、解体工事の潜在需要が拡大していると考える。高度経済成長期以降
に大量に造られた建築物が老朽化しつつあるためである(図表 3)。解体工事の
一つの目安となる築 40 年以上が経過した建築物ストックが増加しており、そ
の増加速度は今後さらに加速すると予想する。
地域別にみると、首都圏では特に高度経済成長期以降に建築された建物の比率
が高い。

首都圏を中心に事業を行う田中建設工業にとって、中長期的に需要が
拡大する余地は大きく、業容拡大に追い風となると考える。

国土交通省も解体工事業の重要性の高まりを認識

重大な公衆災害の発生や、環境への配慮の必要性の高まりで解体工事により専
門性が求められるようになったこと、建築物の老朽化に伴う需要拡大などを踏
まえて解体工事の重要性が高まっていることから、国土交通省は 14 年に建設
業法を一部改正(16 年 6 月施行)し、建設業許可の業種区分であるとび・土工工
事業から解体工事業を専門工種として分離・新設した。

19 年 6 月には経過措置の終了に伴い、1 件の請負代金が 500 万円以上の解体工事を請け負う場合、工事を行う地域を管轄する都道府県ごとに建設リサイクル法に基づく解
体工事業の登録を受けなければならなくなった。

この法律変更による田中建設工業への直接的な業績影響は大きくないと考える。ただし、解体工事業がより専門的な業種であると社会的に認識され、人材採用や施主との交渉においてプラスに働く可能性もあろう。

解体建築市場は新設市場に比べて底堅い推移が予想される

アスベスト除去などの付帯工事を含めた建築解体市場は、現在年間 5,000 億円
程度と推定される。解体工事業者は零細業者を含めると現在約 1 万社強が存在
し、田中建設工業の市場シェアは 18.3 期で 1%前後と見られる。

現状の解体工事はスクラップアンドビルドに伴う需要が大半で、新設市場と解体市場の動向は連動していると考える。

野村では、新設建築市場が 17 年度から 20 年度でほぼ横ばいと安定的な推移をすると予想しており、解体市場が急激に拡大するとは見ていない。ただし、老朽化に伴う潜在需要が増加していることなども勘案すると、中長期的に解体市場は新設の市場以上に底堅く推移すると予想する

 

田中建設工業 業績推移~近年は増収基調の業績推移

行っている事業内容は解体工事のみで変化はしていない。

近年は新設の建設需要の拡大による追い風や、
当社の特徴で後述するように、新規の顧客からの受注が増加しているだけでな
く、既存顧客からの受注も着実に獲得している。

近年業績は拡大基調を維持し
発注ている。ただし、17.3 期、18.3 期は特殊要因があった。17.3 期は、9 月期から
3 月期への決算期変更により 6 ヵ月の変則決算となった。

18.3 期は、工事進行基準を適用開始したことによる業績押し上げに加え、工事完成基準で大型再開発の「春日・後楽園駅前再開発」関連が竣工したこともあり、売上の伸びがトレンドより高くなっている。